はじめに:Jetsonに関心はあるけれど、どう進めればいい?
「Jetsonって最近よく聞くけど、実際どんな風に使えばいいの?」
「PoC(実証実験)をしたいけど、何から準備すればよいかわからない」
そんなお悩みをお持ちではありせんか?
Jetsonは、NVIDIAが開発する小型高性能なコンピュータでエッジAIの代表的な選択肢として注目されています。
しかし、その導入でつまずくポイントは、技術そのものより準備や設計の不足であることが多いのです。


本記事では、Jetsonを使ってAI導入を進める前に、整理しておくべき3つのことを解説します!


整理①:「なにをしたいのか」を定量まで具体的にする
Jetsonはさまざまな用途に使える柔軟なデバイスですが、「何をしたいのか」が曖昧なままでは、
技術選定やPoCも前に進みません。
たとえば
- 倉庫内の人の動線を可視化したいのか
- 製造ラインでの異常を検知したいのか
- 小売店舗での来店客数をカウントしたいのか


によって、必要なセンサーやカメラの種類もAIモデルの設計もまったく変わってきます。
併せて決めるべき定量KPI・制約
- 目標精度(例:適合率/再現率90%以上)
- 許容レイテンシ(例:200ms以内)
- 必要フレームレート/解像度(例:30fps・1080p)
- 運用規模(台数、カメラ本数)
- データ扱い(保存の要否、保持期間、匿名化の要否)


整理②:「どこで使うか」=設置環境を可視化する
次に重要なのが、Jetsonをどんな環境に設置するかという視点です。
ここが曖昧なままPoCを始めてしまうと「想定通り置けない/動かない」というトラブルに陥る可能性があります。
チェック観点
- 電源:電圧/コネクタ、供給の安定性、停電対策(UPS等)
- ネットワーク:Wi-Fi/有線/LTE の可用性・帯域・セキュリティ
- 温湿度・粉塵・水滴:必要なら筐体の防塵防水(IP)や放熱設計
- 設置位置:カメラの視野角、逆光/照明条件、マウント方法、ケーブル引き回し
- 周辺機器との整合:カメラ/センサー、表示器、ゲートウェイ、ケース
- データとプライバシー:撮影可否、個人情報保護の運用(匿名化・モザイク・掲示)
- 保守性:清掃/点検動線、交換容易性、リモートアクセス可否
実際にPoCでうまく動かなかった例として「Wi-Fiが不安定でデータ送信が止まった」「照明条件が変わると正しく検知できなかった」といったケースがあります。こうした現場特有の環境要因を事前に洗い出しておくことが極めて重要です。
また、Jetsonだけで完結するわけではなく、カメラやセンサー、表示機器、保守性など周辺機器との相性も踏まえる必要があります。「機能」よりも先に、「現場」で何ができるのかのリアルを整理することが、PoC成功のカギです。
整理③:「誰が何を担当するのか」の役割分担を考える
Jetsonは高性能ですが、あくまでAI処理用の小型コンピュータであり、単体で完成されたソリューションではありません。
役割分担を明文化し、内製/外部委託の境界を最初に決めることも重要です。
実際の現場で動かすには、以下のような役割分担も必要になります。
項目 | 説明 |
---|---|
ハード構成 | Jetson本体、電源、ケース、カメラ通信機器、放熱、防水防塵 |
データ基盤 | データ収集・保管、匿名化、可視化、バックアップ |
学習・モデル | データ収集・アノテーション、モデル選定/学習、推論最適化 |
アプリ実装 | Jetson上の推論、I/O連携、ログ出力、監視 |
ネットワーク/インフラ | 有線/無線/LTE、セキュリティ、VPN、アクセス制御 |
UI/UX | 現場スタッフ用画面、アラート設計、操作手順 |
運用・保守 | 障害対応、アップデート/OTA、ログ確認、SLA |



「誰が→何を→いつまでに」など責任範囲が曖昧だと、導入後の混乱を招く恐れがあります。


まとめ:PoC前の準備整理がJetson導入の成否を分ける
Jetsonのようなデバイスは、AI導入を加速させる強力なツールです。
しかし、「何ができるか」よりも「どう進めるか」を整理することが、導入を成功に導くカギになります。
PoC段階で合っても、目的・環境・役割分担の3点をしっかり整理しておくことで
- 無駄な試行錯誤を減らせる(コスト最適)
- 社内合意が取りやすい(説明責任の明文化)
- 外部パートナーと早く深く連携できる(導入スピード向上)
といった、実務的なメリットが生まれます。



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匠ソリューションズ(株) エッジソリューションチーム
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