近年、「AI外観検査」が注目されていますが、「従来の画像処理との違いが分かりづらい」という声も多く聞かれます。
現場で求められる外観検査は高速化・複雑化しており、技術選定を誤ると、手戻りやコスト増につながることも。

本記事では、従来の画像処理とAI外観検査の違いを比較しながら、どのような場面でAIの力が発揮されているのかを解説します!
従来の画像処理とは?ルールベースによる「決め打ち型」検査
従来の画像処理は、「あらかじめ決めたルール(条件)」に基づいて対象を判定します。
たとえば
- 輪郭のはみだしをピクセル数で検出
- 色の濃淡を閾値で判定
- 形状の違いを定型パターンと照合


このようなルールベース方式は、シンプルな製品や外観にバラツキの無い工程には非常に有効です。
一方で、微細なキズや複雑な形状、バラツキが多き製品は限界があります。


AI外観検査とは?学習ベースで「判断する」検査
AI外観検査では、正常な画像や異常な画像を学習させることで、異常を判別します。
ルールを人が決めるのではなく、AIが画像から特徴量を自動で抽出し、学習したパターンに基づいて判断するのが最大の特徴です。
AI外見検査のメリット
- 微細なキズ・汚れの検出
→人の目では見逃がしやすい、とても小さな傷や汚れも見つけやすい - 製品個体差(バラツキ)に柔軟に対応
→ひとつひとつ形や色が少し違っても、AIが学習して対応できる - ルール化が難しい不定形な対象にも対応可能
→形やサイズが毎回変わるものでも、AIが自動で特徴を見つけて判断できる


ただし、学習用の画像データの準備やAIモデルのチューニングなど、導入には一定の技術力が必要です。


比較表:画像処理とAI外観検査の違い
項目 | 従来の画像処理 | AI外観検査 |
---|---|---|
判定方法 | ルールベース | 学習ベース |
柔軟性 | 低い(変更に弱い) | 高い(バラツキに強い) |
初期設定の難易度 | 低め | 高め(学習が必要) |
適用対象 | 定型的・均一な製品 | 複雑・個体差のある製品 |
チューニングの自由度 | 高い(明示的に制御可能) | 経験が必要(暗黙的) |
どう選ぶべき?判断のポイント
画像処理が向いているケース
- 不良のパターンが少なく、明確に定義できる
→たとえば、決まった場所にキズが出るなど、パターンがはっきりしている場合です。 - 製品の外観が均一で、バラツキが少ない
→形や色が毎回ほとんど同じ製品の場合 - 導入コストを抑えたい
→シンプルな仕組みなので、AIよりも安価に始めることができます。
AI外観検査が向いているケール
- キズや異常の定義が曖昧(人が判断している)
→「これは良品?不良品?」と人によって判断が分かれる場合です。 - 従来の画像処理では検出できなかった不良がある
→ルールを増やしても見つけられない不良がある時に有効です。 - 品種が多く、ルールや設定の更新が頻繁に必要
→沢山の種類の製品を扱う工場など、毎回ルールを作り直すのが大変な場合です。
導入を成功させるカギは「目的に合った設計と実装」
AI外観検査は「導入すれば何でもできる魔法の道具」ではありません。
現場ごとの課題に合わせて、従来の画像処理とAIを組み合わせて使ったり(ハイブリッド化)、
カメラの近くにAIを入れた機械(エッジデバイス)と連携させたりするなど、工夫が必要です。



当社もエッジAIソフトウェアの受託開発も可能です!
当社は、AI外観検査システムの開発経験があり、エッジAIソフトウェアの受託開発も承っています。
AI外観システムなどのAI技術の導入を進めたいけど、「社内にAIの知見が足りない」「PoCを素早く進めたい」といったお悩みがある企業様には、柔軟な支援体制をご提案可能です。
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当社「エッジソリューションチーム」では、 エッジAI技術を活用したソリューションの設計/開発を手掛けています。
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まとめ
- 従来の画像処理はルールベース、AI外観検査は学習ベース
- 製品のバラツキや不安定な欠陥への対応にはAI外観検査が有効
- AI外観検査の導入には、技術的なサポートや開発リソースの確保が重要
- エッジAIとの組み合わせにより、現場環境に最適化されたソリューションの実現が可能



どちらの方法にも得意・不得意があります。現場の課題や目的に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。