熱電対における補償導線の選び方と正しい使用方法

熱電対による温度計測において、補償導線は測定精度を維持するための重要な役割を果たします。

しかし、その正しい選び方と使い方を理解していないと、測定誤差が生じる可能性があります。

今回は、補償導線の選び方と適切な使用方法について、
詳しく説明します!

目次

補償導線の役割と重要性

補償導線は、熱電対から測定装置までの電気信号を伝えるための専用ケーブルです。

熱電対の種類に応じて、特定の材料で構成された補償導線を使用します。

これにより、測定点と測定装置の間に生じる温度差を補正し、誤差の少ない温度測定が可能になります。

特に、長距離にわたる配線や外部環境の変化が激しい場合、補償導線の使用が欠かせません。

補償導線の選び方

補償導線を選定する際のポイントは、主に以下の3つです。

1.対応する熱電対の種類に合わせた選択

補償導線は熱電対の種類に応じて設計されます。

例えば、K型熱電対にはK型対応の補償導線を選ぶ必要があります。

同様に、J型、E型など、使用する熱電対に合わせた補償導線を選定することが重要です。

異なる種類の補償導線を使用すると、正確な温度測定ができなくなる恐れがあります。

2.使用環境に適した耐熱性・腐食性

鋳造業界では、高温や腐食性の強い環境で使用されることが多いです。

そのため、補償導線の耐熱性や腐食性を考慮することが必要です。

3.絶縁材の特性を認識する

補償導線の絶縁材の特性も選定時の重要な要素となります。

絶縁材が劣化しやすいと、信号のノイズや短絡が発生します。

そのため、測定精度に悪影響を及ぼす可能性があります。

適切な絶縁体を選び、使用する環境に合わせて絶縁性能を確認することが必要です。

補償導線の正しい使い方

補償導線の性能を最大限に引き出すためには、正しい使い方が求められます。

1.接続方法

補償導線を接続する際は、熱電対と測定装置の接続部がしっかりと固定されていることを確認しましょう。

接続部で温度差が生じると、測定誤差の原因になります。

また、接続部の接触抵抗を最小限に抑えるため、適切な締付と接点の清掃が必要です。

2.接続部の絶縁処理

接続部が外部の電気的な干渉や湿気などの影響を受けないように、

必要に応じて絶縁処理を行う必要があります。

3.配線ルートの選定

補償導線の配線ルートにも注意が必要です。

高音部や電磁ノイズが発生しやすい場所を避けることで、測定の精度を保ちます。

定期的なメンテンナンス

補償導線の正確な性能を維持するためには、定期的な点検とメンテナンスが必要です。

1.目視点検

導線や接続部に損傷や腐食がないかを定期的に確認します。

問題が見つかった場合は、すぐに修理または交換を行います。

2.導通テストの実施

補償導線の導通性を確認するため、定期的な導通テストが必要です。

定期的に行うことで、測定不備の可能性を最小限に抑えられるでしょう。

3.緩みのチェック

接続部の緩みや締め付け具合を確認し、必要に応じて増し締めを行います。

まとめ

補償導線の選び方と正しい使用方法を理解し、日々のメンテナンスを行うことで、

熱電対の測定精度を高めることが可能になります。

これらのポイントを押さえて、より正確な温度測定を実現しましょう。

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この記事を書いた人

自社開発及びメーカー企業からの受託開発をメインに展開する、仙台発のベンチャー企業『匠ソリューションズ(株)』のSolution事業部所属。
鋳造業界のDX化をサポートしています。
素晴らしい技術を伝承すると共に、日本のものづくりの更なる発展に少しでも貢献できたら幸いです。

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