カメラの違いは「性能差」ではなく「導入の前提条件」で決まる
RGB、マルチスペクトル、分光カメラの違いは、どれが優れているかではなく「どこまでの情報が必要か」で選ぶべきものです。
RGBは最も身近で扱いやすい一方、見えない差を扱えることはできません。
分光は非常に詳細な情報を得られますが、導入や運用のハードルが高くなります。
その中間として、現場で選ばれやすいのがマルチスペクトルです。
この整理が出来るだけで、導入検討はかなりシンプルになります。
本記事では、それぞれの違いと最適な選び方を簡単に解説します!
RGBカメラはなぜ限界にぶつかるのか
RGBカメラは、可視光を赤・緑・青の3成分として捉えます。
この仕組みは高速かつ低コストで、AI画像認識とも相性が良いため、多くの現場で使われています。
一方で、RGBカメラが扱っているのは「色として見える情報」に限られています。
そのため、色が似ている素材や表面状態がほとんど変わらない対象では、違いを捉えられません。
人間の目と同じく、可視光(おおよそ400〜700nm)の範囲だけを3成分に分けているイメージです。
RGBカメラの限界とは、性能不足ではなく「見ていない情報があること」にあります。
RGBカメラは、コスト・スピード・使いやすさのバランスがよく、まず検討される標準的な選択肢です。


マルチスペクトルとは「少しだけ波長を見る」という現実的な選択
マルチスペクトルとは、RGBに加えて特定の波長帯を複数取得する技術です。
分光のように連続した波長全てを見るわけではありません。
この「限定的に波長を見る」という考え方が、導入の現実解になります。
RGBでは見えなかった材質差や状態差が、波長情報を加えることで初めて区別できるようになります。
一方で、データ量は分光ほど増えないため、現場やAI用途でも扱いやすいという特徴があります。
「見える情報を増やしつつ、データ量とシステム負荷は現実的に抑えたい」というときに、マルチスペクトルは有力な選択肢になります。
例えば、外観検査で材質差やコーティング状態の違いを見分けたいときなど、RGBだけでは見えにくい違いを補う用途に向いています。
マルチスペクトル/分光の活用をもう少し具体的に検討したい方は、関連情報をこちらにまとめています。
分光カメラは誰に向いているのか
分光カメラは、非常に細かな波長情報を取得できます。
成分分析や研究用途では欠かせない存在です。
しかし導入目線で見ると、注意点もあります。
データ量が膨大で、解析スキルが求められるため、現場でのリアルタイム利用やPoCに向かないケースも少なくありません。
分光カメラは、
「情報量が必要な人にとっては最適だが、全ての現場に必要なわけではない」
という位置づけになります。
成分ごとのスペクトル分析や材料開発・研究用途など「細かい波長情報そのものを見たい」ケースに向いています。
一方で、「成分までは見なくてよいが、検査やAIの精度を上げたい」程度であれば、分光ではなくマルチスペクトルから検討するほうが現実的です。
外観検査や識別精度の改善に向けて、波長情報をどう扱うかを整理したい場合は、こちらも参考になります。
導入で失敗する原因は「やりすぎ」にある
カメラ選定でよくある失敗は、「より高性能なものを選べば安心」という考え方です。
実際には、情報が多すぎることで
- データ量や機能が多すぎて、扱いきれない
- 現場で運用されず、結局「高級なお試し」で終わる
- PoCで止まり、本番展開まで進まない
といった問題が起こります。
導入で重要なのは、どこまで見えれば十分かを先に決めることです。
導入目線で見ると、マルチスペクトルは中間解ではなく最適解になりやすい
RGBは導入しやすい反面、限界があります。
分光は強力ですが、扱える人と環境を選びます。
その間にあるマルチスペクトルは、情報量・運用性・AIとの相性のバランスが良いため、実運用に繋がりやすい選択肢です。
まとめ:違いを知ることが、正しい導入につながる
RGB、マルチスペクトル、分光の違いは、単なる技術分類ではありません。
導入後に使われるかどうかを左右する選択です。
RGBでは見えない。
分光までは重い。
その間にあるマルチスペクトルという選択肢を導入目線で理解することが、後悔しない判断につながります。
「見える」「見えない」を同時同軸で捉えるマルチスペクトルカメラモジュールを紹介しております。
RGBカメラとの違いや利点などについてのご相談も承っておりますので、「何ができるのか詳しく知りたい」「まずは相談だけしたい」という方もお気軽にお問合せ下さい。
マルチスペクトルを同時同軸で捉える「マルチスペクトルカメラモジュール」
通常のカメラでは検出できない、複数の波長の画像を同時に検出します。
- 380nm~1680nmの幅広い波長帯を同軸で同時撮像。
- 可視光+近赤外+短波赤外を1つのモジュールに集約。
- 外観検査・物体認識の精度を次の次元へ。
- インタフェース:MIPI-CSI2
製造、検査現場などで様々な課題に対応できます。詳細の説明やご相談、サポートもいたしますので、お気軽にお問合せ下さい。
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