はじめに:監視・検知AIに潜む”情報漏洩リスク”
防犯カメラや工場の監視カメラ、医療現場での映像記録。これらのように「リアルタイム映像データ」の活用は日常的になってきました。
しかし、クラウドAIに映像を送信する設計の場合、データ漏洩や外部アクセスといったリスクが常につきまといます。
実際に、2023年には大手セキュリティ企業で監視カメラ映像の漏洩事件が発生しました。そのため、個人情報保護の重要性が改めて注目されています。
その中で、セキュリティ対策として注目されているのが、「エッジAI」です。

本記事では、映像データの安全な処理方法としてエッジAIが選ばれている理由を解説します!


なぜ映像データは”特に危険”なのか?
機微な個人情報の集約
映像データは以下のような機微な個人情報を含むケースがあります。
- 顔や身体的特徴(顔認証・行動パターン)
- 医療現場での患者の容態や治療の様子
- 工場内の技術情報や人の動線
- 商業施設での顧客の購買行動


機微な個人情報の集約
これらをクラウドへ常時アップロードする仕組みでは、万が一情報漏洩が発生した場合、法的リスクやブランド毀損に直結するおそれがあります。
近年のGDPRや改正個人情報保護法では、「データ送信先の明確化」「本人の同意管理」が厳格に求められています。そのため、クラウド運用だけでは対応が困難な仕組みになってきています。
大手クラウドサービスも、暗号化や厳格なアクセス管理、利用者向けの法令対応支援を強化していますが、実際の運用面ではユーザー側の責任範囲も広く、機微な映像データのアップロードには依然として課題があります。


映像処理にこそ”エッジAI”が効く理由
エッジAIは、カメラやセンサーの側にあるデバイスでAI処理を完結させる仕組みです。
技術的メリット
- 映像データをクラウドに送信せずローカル処理が可能:機密性の高いデータが外部に漏れない
- ネットワーク障害児も処理継続:通信が切れても検知処理が止まらない
- 低遅延処理:クラウドAIと比較して約50-100ms短い応答時間を実現
- 帯域幅の節約:映像データ転送量を最大90%削減可能
セキュリティ面のメリット
特にセキュリティ面では「生の映像データではなく、AI判定結果のみをクラウドに送信する」など柔軟な設計が可能です。
これにより、個人を特定できる情報を外部に送信することなく、必要な監視・分析機能を維持できます。





ただし、エッジAIも物理デバイスの管理や運用保守、AIモデルのアップデートなど独自の課題があります。
導入時は運用設計や現場のITリテラシー向上もあわせて検討しましょう。


具体的な活用シーン
防犯カメラ/監視カメラ
- 機能:通行者の顔認証をローカル処理で実施
- セキュリティ対策:異常検知(不審な動き、不正侵入)の判定結果のみクラウド通知
- 効果:個人の顔映像データを外部送信せずに監視機能を実現


工場ライン監視
- 機能:作業員の安全確認や装置の異常振る舞いをローカルでAI判定
- セキュリティ対策:社外に出せない機密設備の映像データも外部流出なし
- 効果:製造ノウハウの保護と安全管理の両立


医療現場の映像記録
- 機能:カメラ内でプライバシー保護処理(モザイク・マスク処理)を完結
- セキュリティ対策:個人が特定されないよう加工してから外部保存
- 効果:患者プライバシーを完全保護しながら医療データの活用が可能


いずれも「生の映像データを外部に出さない」仕組みで設計できるのがエッジAIの強みです。



セキュリティ面でのエッジAIのメリットの詳細は以下の記事をご覧ください!


まとめ:セキュアなAI活用にはクラウドに頼らない設計がカギ
映像データは個人情報の集約体です。その扱いを誤れば、企業にとって重大なリスクとなることもあります。
クラウドAIの利便性を享受しつつ、映像データの処理はエッジで完結させる。
このハイブリッド設計が、これからのAI活用には求められます。
エッジAIを導入すべき企業
- 個人情報を含む映像データを扱う企業
- 機密性の高い施設での監視が必要な企業
- GDPRや個人情報保護法への厳格な対応が求められる企業
- ネットワーク環境が不安定な場所での運用が必要な企業


「クラウドAIではセキュリティが不安」という方こそ、エッジAIをご検討ください。



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